2ntブログ

2013年02月

戯画「この青空に約束を―」 沢城凛奈(1)

さて、今回は沢城凛奈ルートです。

沢城凛奈
rinna10.jpg

「コミュニティに新たなメンバーが加わる」というのは、物語の基本です。
この沢城凛奈は正にそれでして、つぐみ寮に突如新たなメンバーとして加わります。
さて、彼女の存在は、つぐみ寮にどんな変化をもたらすのでしょうか?

と、言うわけで、いってみよー!!





春の朝。
起こしに来る幼馴染。
部屋に散乱する酒瓶と二日酔い。
階下の食堂で待っている仲間。
隣には、すやすやと眠る美少女。
星野航、記憶なし。

rinna01.jpg

猶予は五分。
星野航、ピンチ。

再度踏み込んでくる幼馴染。
なお、理由は茶柱。
俺の彼女と幼馴染が修羅場すぎる?

rinna02.jpg

rinna03.jpg

目覚める少女。
ずれた感じに怒っている。
そして二日酔いしている。

【航】
「どう考えても俺の子じゃねえだろ!」

【???】
「あんたのじゃなかったら誰のよ!?
 自慢じゃないけど他に心当たりなんかないわよ!」


結構身持ちの堅いお嬢さんらしい。
まぁ、航と飲みまくって部屋に連れ込まれてるのはアレですが。

少し落ち着いて、少女に記憶が戻る。
そして、新たになる怒り。

rinna04.jpg

意気地なしとはこれいかに。
プレイボーイの航が手を出してないということか。

階下から上がってくる仲間たち。
慌てて逃げ出す少女。二階までなら大丈夫、と飛び降りる。



春です。始業式です。
奈緒子会長によるありがたいお言葉があり、続くホームルームで転校生の紹介。
普通、この展開だと「あ、あんたあの時の!」みたいな展開ですが、丸戸史明はここでも笑いを忘れない。

その後、今年度第一回の生徒会総会。
会長のご意向で、最初の議題は「生徒会副会長の同衾問題」について。
周りが笑っている中、一人まじめに凹む海己。



夜。
カッコつけてベランダでギターなんか弾いちゃう航の隣へやってくる海己。
海己の用事は今朝のこと。
微妙な立場の海己は、やはりあの娘が気になる模様。



翌日。

rinna05.jpg

タイミングをずらして登場する本命の方の転校生。
起き抜けかつ二日酔いで航と愉快な会話をしていた割に、ちょっと気難しそうな雰囲気。
彼女は新たにつぐみ寮へ仲間入りすることに。


凛奈入居。
寮からの景色に素直に感嘆の声を漏らす。
この辺を見ると、素直な良い奴に思えますよね。

早速、部屋を訪れる会長。
ある種の威力偵察。

rinna07.jpg

【奈緒子】
「色々聞きたいことあるんじゃない?
 なんでそんなに美人ですかとか、頭いいんでしょうねとか
 女のわたしでも嫉妬しちゃいます~とか」

【凛奈】
「悪いけど、片づけがあるから…」

【奈緒子】
「わたしが一夜を共にした男の子は、
 一体どんなコなんですか~、とか?」


相手にペースを渡さず、鮮やかに先制攻撃。
航を話題に出すと、凛奈の表情が無関心から敵意へ変わる。
敵意があるということは、関心があるということで。

しかし「航が一夜を共にした女の子は一体どんなコなんですか~?」というのが気になったのは奈緒子の方ではないのか。

【奈緒子】
「ありゃ、ど真ん中だね、航の」


偵察後の一言。
実に素敵なキャラクターだなぁ、奈緒子は。



つぐみ寮の新寮生歓迎会。
しかし、主賓は姿を現さない。

rinna08.jpg

ツンぶりを発揮する凛奈。
そういえば、この子、黒ストだ。。。

どうせ、来年には取り壊され、離れ離れになるのだから、仲良くする必要を感じない。凛奈はそう言った。
ただ、彼女の口ぶりは傷つくのが嫌だから大事なものを持たない、という傷ついた少女の悲鳴にも聞こえなくもない。

rinna09.jpg

立ち去ろうとする凛奈を呼び止める航。
航の理屈では、既に凛奈は航達の仲間になってしまっているのだ。だから、別れを惜しんで涙を流さずにはいられないほど、関わるしか道はないのだ。




何故か島の人から、干しアワビやら昆布やらスルメやらをもらう航。

rinna11.jpg

世間知らずな沙衣里に指摘されるまで気付かないとは、星野航にとって不覚であったことだろう。




夜。
今日はベランダでハーモニカな気分の航。
凛奈が帰ってくるのを見つけ、おかえりと声をかける。

rinna12.jpg

今日も取り付く島もない。
島の住民も、寮に人間も、航も、彼女を受け入れようとするのだが、彼女は受け入れられることを拒んでいる。




問題児、凛奈、三時間目からの登校。

rinna13.jpg

いつも通り、わざわざ敵意を煽るような態度で教師に接した結果、校庭10周の罰を与えられる。
航も凛奈が作為的にそうしているのが分かる。
さて、彼女を孤独へと進ませるものは何なのか。

rinna14.jpg

窓から外を見て、航は黙々と走る凛奈を見つける。
普段の態度からは想像もつかない、真面目な、ひたむきな走りぶり。

rinna15.jpg

そして、走り終え、航の視線に気付き、嫌悪を露わにする。
凛奈は見られたくなかったのだ。
無理にでもひねくれて見せている自分の真っ直ぐな部分を。
しかし、この子はジト目可愛いな。

【航】
「お前のブルマ姿を近くで見るために抜け出した」


なんて言っちゃう航もなかなかです。



頼れる兄貴分三田村隆史の店、サザンフィッシュを訪れる航。
凛奈と航が出会った時のことを聞き込み。

【航】
「俺、20歳。元ヤンだけど、まだ童貞の熱血漢なんだ」

それ、ショコラの結城大介だしww
はっ!航=大介ということは、奈緒子ルートが真のTrueエンド!?(違)

とまぁ、それはさておき。
サザンフィッシュで酔い潰れた航の隣に現れてガンガン飲み始めた凛奈は、最終的には隆史が目を離した隙に航と二人で消えていたとのこと。
こ、これが「お持ち帰り」!?

凛奈は航を気に入ってついていったはずだろう、と隆史は推測する。
では、どうして冷戦状態になっているのか。

あ、ちなみになんですが、茜が帰宅して隆史と茜が兄妹であることが判明します。
隆史が「こんな軽薄でスケベな男に近づくな!」とダブスタを発揮する辺りが、実に可愛らしい。




沙衣里が、寮生について情報収集するよう学園長と教頭に命じられた事が判明。
つぐみ寮を潰すために学園長と教頭は何やら画策しているようで、何か問題を起こしてしまうと一発で廃寮となる危険もある。
と、いう状況から鑑みるに、凛奈の存在が寮にとって最大の危険ということになる。

凛奈の父親は出水川重工の研究者で、昔から南栄生島に駐在していたらしく、長い別居生活が祟って両親は離婚。
母親と東京で暮らしていたということだが、凛奈は母親との折り合いが悪くなり、父親の元へ。

rinna16.jpg

凛奈は「一年生ながら全国大会に出場した陸上の特待生」という立場も捨てて、父のいる南栄生島へやってきたのである。

が、年頃の娘としては何とも辛いことに、父親は部下の女性と同居中。
父親としては、凛奈に理解してもらう努力をしたのだけれど、まぁ、凛奈が居場所のなさを感じてしまったのも無理のない話です。


と、いう凛奈の境遇を知った航は、彼女と更に真剣に向き合うことを決める。
「話がある」と航が言うと、凛奈も「用がある」とのこと。
不意に浴びせられる平手打ち。

rinna17.jpg

あ、この子、父親を「パパ」って呼ぶのか。かわいいな。
じゃなくて!

凛奈の父→沙衣里→教頭というルートで、凛奈と父親についての複雑な事情は広まったわけですが、凛奈は自分→航→教頭と伝わったものだと思っている。
勘違いだし、情報の流出元は沙衣里なんですが、航が凛奈の事情について聞いたのを覚えてないというのも、原因の一部なんだよなぁ。。。

rinna18.jpg

意外と泣き虫凛奈。
「もう航の顔を見たくないから出ていく!」みたいな話になってしまった。




【海己】
「こ、これ受け取ってくださいっ!」


rinna19.jpg

凛奈驚く。

rinna20.jpg

そして照れる。可愛い。
突然のラブレター?突然の百合展開?
なんてはずはなく、航の手紙を海己が取り次いだのである。


翌日。
なんか怒ってる凛奈。

rinna21.jpg

「手紙の内容に責任を持て」という部分より、前半の誤解部分が気になってしまう。
いや、まぁ、そう見えるけどさ。

突き返された手紙を査読する奈緒子。
内容は、寮生についての山盛りな暴露話。
航の国語力と、その指導をしている沙衣里の指導力は痛烈な批判に晒される。

rinna22.jpg

なんか隙を突いて可愛いこといってる会長。
海己は凛奈への手紙について、取り次ぎだけでなく内容の監修も命じられる。


翌日
航の手紙を携えて再度凛奈にアタックする海己。

【海己】
「うん、沢城さんの言う通り、
 わたしが責任持たなくちゃいけなかったよね。
 ごめんなさい」

【凛奈】
「…それって、つまり」


rinna23.jpg

自分で言っておいて、認められると複雑そうな凛奈。
勿論、海己は純粋に手紙の内容に責任を持つことについて同意を表明しているのだけれど、凛奈は「どういう立場から責任を持つのか」も気になっているわけで。

rinna24.jpg

あぁ、まぁ、つまり、そういうこと。
なんかさ、凛奈、かなり脈ありなんですよね。



凛奈への三通目の手紙をしたためる航。
段々と、航は恥ずかしくなってきているようだ。
で、海己、三回目の取り次ぎ。

【海己】
「少なくとも、わたしが貰ったら嬉しい。
 そんな手紙になってると思うんだ」




凛奈への四通目。
「校庭を走り終えた時みたいな笑顔を、凛奈が自分たちといる時も出してくれたらいいと、願ってる」なんて、臭いけど良い内容の手紙。
書いてる様子を眺める海己は、なんだか複雑そう。

その翌日、四回目の取り次ぎ。
海己はこれまでとは違って浮かない顔。

【凛奈】
「早く…渡しなさいよ」

【海己】
「…どうしても、欲しい?」

【凛奈】
【いっつも無理やり渡してたくせに】

【海己】
「き、昨日まではね?
 でも、その…」


煮え切らない様子の海己から手紙を奪い取り、去っていく凛奈。
それを複雑そうに見送る海己。

rinna25.jpg







サザンフィッシュで夕食を摂る凛奈。
雨が降り出し、寮に帰れない。
食後のコーヒーを飲みながら、隆史に自分のことを語り始める。

凛奈は、それなりに希望を抱いて南栄生島にやってきたものの、初日で全てぶち壊しになってしまった。
その夜に、出会ったのが航。

【凛奈】
「壊れただけならよかった…
 だけど、少しだけ、治りそうになった。
 それが失敗だった…」

【凛奈】
「余計…傷ついた」

【凛奈】
「それが…それがね…
 また、あたしを治そうと足掻いてる」

【凛奈】
「ほっといて欲しいなぁ…
 今さら構わないで欲しいなぁ…
 ぐらぐらすること言わないで欲しいなぁ…」


凛奈にも意地があるわけで、一度心を閉ざすと決めてしまったのに、そうそう簡単には開けないのだ。
勿論「開きたくない」と「開けない」との間には、結構な違いがあるわけだけど。

サザンフィッシュに航がやってくる。
雨の中「借りた傘を返しに来た」なんて見え見えの口実で。

「航が傘を持って迎えに来た」なら凛奈は拒んでしまうから「隆史が傘を貸す」に図式をすり替える。
そうなると凛奈は、分かっていても拒めない。

rinna26.jpg

凛奈はそもそも、人の好意を拒めるような人間ではないのだ。
それを理解したから航も、彼女の扱い方が分かってきている。

図ったように出てくる高見塚マラソンの話題。
ディフェンディングチャンピオンである航を脅かす存在が、というわざとらしい話の展開。

席を立とうとする凛奈。
挑発する航。
「もう顔も見たくない」という平手打ち事件以来、久々の口論。

高見塚マラソンで勝負して決着をつけよう、ということに。
凛奈が勝てば、航は寮を出る。
航が勝てば、凛奈は夕食を皆と一緒に食べる。




凛奈と航の勝負は、既に学園長と教頭の耳に入った模様。
彼らの思惑は、凛奈を勝たせて航を退寮させ、つぐみ寮の結束を崩すこと。

奈緒子、宮穂、静は呆れながらも航の挑戦を応援する構え。
一方、一人心配を露わにする海己。
航が寮を出て行ってしまう可能性が、万に一つでも存在するのが海己には我慢できないのだ。

海己が泣き、航が慰め、というタイミングで凛奈が現れる。
なんとなーく、航vs凛奈と共に海己vs凛奈の雰囲気。
「ベストに戻して大会を迎える」と宣言する凛奈。



大会前日、教頭に呼び出される航。
中間試験の成績が悪かったので追試を受けろ、とのこと。
なんともあからさまな、陰謀の臭い。

一方の凛奈。
大会コースをテストラン。

rinna27.jpg

ブランクを取り戻せたようで、満足気な笑み。

小さな大会でも、陸上に復帰できたこと。
全力を出して競うに足りる相手がいること。
しかも、そいつが結構気になる奴であること。
凛奈は自分の感情を認めないが、彼女は大会を心待ちにしている。


夕飯時。つぐみ寮の食堂。
航が帰らないのを心配する寮の面々。
まさか、学園側が本気の陰謀をかけてくるとは知らず。



大会当日。
スタート10分前になって、やっと現れる航。
昨夜の睡眠時間はゼロ、学園からスタート地点まで10キロを走って到着。
まさに、最悪のコンディション。

航の体調の悪さを見抜き、棄権するよう告げる凛奈。
裏表ない、ただ、航の体調を気遣っての言葉。

rinna28.jpg

凛奈は優しいんだよ、やっぱり。


そんな凛奈を、航は挑発する。

【凛奈】
「あんた、あたしと仲直りしようと
 してたんじゃないの!?」

【航】
「お前が何でも先延ばしにして逃げるからだろ!」


航は絶対に今日、決着をつけようとする。
完全な孤独を選ぶことも、クラスに溶け込むことも選べない、凛奈の中途半端な態度をぶち壊すことを宣言する。

rinna29.jpg

スタートの号砲が鳴っても睨み合う二人。
勝負のルールを確認し、スタートを切る。


一分遅れのスタート。
焦って前に出ようとする航を凛奈が押し留める。

rinna30.jpg

二位になるまで自分についてこい、と合図を送る。
やはり、凛奈は航といい勝負がしたいのだ。
どれほど意固地になっていても、感情的になっていても、それは変わらない。

中間地点で凛奈と航が先頭に立つ。
ゴール地点で待つ面々がどよめく。


走りながら、航を何度も振り返る凛奈。
航の方も、自分の状態がまずいこと、凛奈を心配させていることは自覚している。

坂を登りきり、急な下りとカーブに入る。
凛奈が振り返っても航の姿は見えない。心配されることはない。
だから、航は、安心して倒れられる。


8キロの給水ポイント。
足を止め、沙衣里に詰め寄り航の様子を聞く凛奈。

rinna32.jpg

取り返しがつかない結果を想像し、自分の態度を悔いる凛奈。

【沙衣里】
「あんたは行きなさい!
 そして一位を取りなさい!」
「そして、ゴールした後も、今の気持ちを覚えてるなら、
 ここに三つの誓いを立てなさい!」
「一つ! その賞状は寮に飾ること!
 一つ! 今夜の祝勝会には必ず参加すること!
 一つ! みんなに、今までのことを謝ること!」

カッコイイぞ、沙衣里。
沙衣里に叱咤され、決然と走りだす凛奈。


一方の航。
走れメロスパロディのおふざけが挟まって、再スタート。
どういう手段を使ったのか、ラスト50mで凛奈の前に現れる航。
そのままスパートをかけて見事一位でゴールインするも・・・。

星野航、鵯越の逆落としで大逆転はコースアウトということで、失格。
鹿は四足、馬も四足。しかし人間は二本足なんですがね。

しかし、航は大会は失格になっても凛奈には勝っているのだ。
なにせ、勝負の条件は「先にゴールに入った方の勝ち」だったのだから。

rinna33.jpg

怒る凛奈。

rinna35.jpg

泣く凛奈。

あ、ちなみに航、鵯越の逆落としの際に右腕骨折。
アルバイトを辞めたり、気になる男の子を振ったり、そういうのは必要ないみたいですが。






治療を終え、病院で一眠りをし、寮に戻ると祝勝会。

rinna36.jpg

約束通り、寮の仲間に謝る凛奈。
それをぶち破り、ビールかけを始める航。

rinna37.jpg

つぐみ寮に涙は要らない。
少なくとも、今はまだ。




深夜。寮のテラス。
航と海己。
祝勝会の後。海己は凛奈と風呂に入ったのだそうだ。
そこで、凛奈が昔、島に来たことがあるということや、海己の小さい頃の話をしたのだという。
いずれ離れるにせよ、沢城凛奈はつぐみ寮の一員になったのでした、と。







rinna38.jpg

季節は夏。
星野航、腕は回復。
そして、一ヶ月の停学明け。

rinna39.jpg

朝から仲良くバスケットボールに興じる二人。
その様子を、なんとも複雑そうに見守る海己。

rinna40.jpg

遅刻しそうな航を待つ役目を海己から奪う凛奈。
雨降って地固まり、台風の訪れを予感する沙衣里と奈緒子。

凛奈は可愛いですねぇ。
航相手には「昔っからジャンケンには弱くて」なんて言い訳する。


航が不在のうちに、凛奈はすっかりクラスに溶け込んでいたり、また、いつの間にかテストまで一週間になっていたり、と色々あったようです。
中間テストのようなことにならないように、生徒会としては寮生の試験対策を全面支援する方針。

rinna41.jpg

ちなみに、部員一名の陸上部も発足。



放課後四時間、試験勉強に拘束された航。
テラスで海己と話しているところに、凛奈登場。

rinna42.jpg

どうも、航と海己の関係に挑戦する凛奈、みたいな構図になりますよね。
海己も海己で、凛奈を他の寮生とは違って脅威だと感じてるみたいだし。

rinna43.jpg

凛奈の夜食のおにぎりを半分奪い取る航。
お礼を言われて照れる凛奈。
用意してきた夜食が渡せない海己。

海己にとっては、何事にも航と対等になれる凛奈は眩しい存在なのかもしれない。
沙衣里が自分にない落ち着きを持った奈緒子を意識し、奈緒子が自分と違ってプライドを捨てられる沙衣里を羨んだように。



奈緒子の特訓を受けるべく、重い足取りで下校する航を凛奈が呼び止める。
アップを手伝っていかないか、と誘う。

rinna44.jpg

航を陸上部に誘う凛奈。
今までは、一人で走るので十分楽しかったけれど、航と走って、誰かと走る楽しみ、競う楽しみを感じたのだという。

【凛奈】
「航には負けたくないって思ったし、
 勝ったら、やっぱり、嬉しかったし…だからさぁ…」

【航】
「先にゴールしたのは俺だ」

【凛奈】
「みんなに一位と認められたのはあたしだけどね」


とても仲良し。
ニヤニヤしますね。




夜。
奈緒子の特訓から解放されて部屋に戻る途中。
明かりがついている凛奈の部屋に立ち寄る。
案の定、居眠りをしていた凛奈。

rinna45.jpg

起こしてやると、開口一番。
この子、すれてるんだかいないんだか。
てか、もうやっちゃえば良いんじゃないか?

rinna46.jpg

居眠りにより一夜漬け失敗が確定的な凛奈。
こんなとこまで対等というか、なんというか。
ツンが抜けた凛奈は、馬鹿かわいい子になってた。



静と入浴する凛奈。
直前に尻込み。

rinna48.jpg

なんか、もう、意味わからんことになってるな。

静と凛奈のわだかまりの理由が、航には分からない。
これまで、航に一番構ってもらっていた静と、最近航に構ってもらっている凛奈、という対決の構図なわけでして。

rinna49.jpg

しかし、凛奈も見境ないな。
海己とも静とも争おうというのか。

力技で凛奈は静と打ち解ける。
それを見守る、宮穂と航。
ちなみに、のぞき。




夏休み突入。
航の成績はどうにかなったものの、凛奈と静は補習。
そういえば、凛奈の補習科目に数学が入っていなかった。
航と夜を徹して頑張った効果があったということか!

凛奈と静の遠泳対決。
1分間のハンデをぐいぐい追い上げる凛奈が、急に泳ぎを止める。
最悪の事態が頭をよぎり、航は急いで凛奈を助けに行く。

rinna51.jpg

なお、事の真相はこちら。
星野航、何の罪もないが浅瀬で犬神家状態。



大食いが増えたつぐみ寮。
おひつに残った最後の一膳分を奪い合う凛奈と航。

rinna52.jpg

自分の方が多く食べた自覚があるので、強く出られない凛奈。
可愛いけど、さ。





キリはあんま良くないんですが、この辺で。

ここまでの感想ですが、
花鳥玲愛のピークがデレるところだったのに対して、凛奈はデレた後も上手く書いてるなと思います。
馬鹿かわいい感じのままらぶ小雪系のキャラクターになるのかな。

さて、今後も楽しみにしつつ
今日はここまで!

戯画「この青空に約束を―」 六条宮穂(2)

約二ヶ月ぶりでしょうか。
お久しぶりです。
さて、宮穂ルートの続きを最後まで進めましょう。

もう忘れるくらい前ですが、前回は宮穂と航がくっつくまででした。
今日はそこから最後まで。




そういうわけで結ばれてしまった二人ですが、航はそれなりに常識のある若者なので、避妊をせずにセックスしたら何が生じるかということに無頓着ではいられません。

miyaho57.jpg

そんな時にまぁ、こういう茶化され方をしたら怒るわなww
で、無事に生理は今月も来たわけです。
あからさまにホッとした様子の航に、ややご不満な宮穂。

miyaho58.jpg

そういう関係になったわけだし、今後もそういうことするわけだし、今後は気をつけよう、という話をしていて、ニヤニヤしだす宮穂。


二人はそういう仲になったとはいえ、取り敢えず暫くは秘密の関係ということに。共同生活の中でくっついちゃって、大っぴらに出来ない二人、というのが丸戸は好きなのだ。

miyaho59.jpg


隠してることによって、何らかトラブルが生じるというのがベタな展開ですが、取り敢えず宮穂は明るい。




夕食の風景。
凛奈は陸上の大会に出てきたらしい。

【沙衣里】
「それがさ~、もう敵なし。
 1500も3000も断トツの大会新。
 正直、わたしたちのレベルで出るとこじゃなかったわ」

【奈緒子】
「たちを付けるな幽霊顧問」


やっぱ、この二人の遣り取り、良いなぁ。
「奈緒子」と陸上って、なんかビッグコミックスピリッツで連載されてた陸上マンガを思い出すわけですが、そういえば関係あるのかな。あれも島の話でしたけど。

食卓の話題が凛奈の快挙で持ち切りの中、宮穂は航の世話焼きを海己から奪い取らんと人知れず躍起に。いや、気付かれてないと思ってるのは宮穂だけですが。


宮穂と静が入浴中、航の尋問タイム。

【沙衣里】
「それでも年上が我慢すべきでしょう!
 猿かあんたは!?」

【凛奈】
「猿だよね」

【奈緒子】
「猿に決まってんじゃない」


バッサリ。
今後の方針としては「皆にバレてしまったなら、もっと大っぴらに彼女ぶる」みたいなことを宮穂に考えさせないため、バレていることが宮穂にバレないようにする、ということに。
ちなみに宮穂は「秘密なんです」と言いつつ静にバラしてたりする。駄目だな、この子www



夏休み最終日。
自由研究を進める宮穂と航。今日の予定を済ませて、滝村執事の運転する車に乗って、で、真っ直ぐ帰るかなと思ったら六条邸へ。これも一種のおうちデート?

miyaho60.jpg

なんか、宮穂がひどくやらしいお嬢様になってるな。教育の賜物ですか?

miyaho61.jpg

miyaho64.jpg


体温測ってグラフを付け、安全日ノートを作り、二重底引き出しに隠しているらしい。この用意周到なバカさが可愛かったりしますね。


航は宮穂に嗜虐心を煽られてしまってるわけですが、この辺の表現が丸戸独特な感じしますよね。ダメ恋の理くんも、割とサドっぽくなったりしてたし。愛しい人に傷つけられたがる、愛しい人を傷つけたがる、みたいな。

あぁ、そういう意味で言うと、セックスのみならず、愛しい人を傷付けて永遠に覚えておいてもらう、みたいなのもしばしば出てきますよね。ショコラの香奈子さんがそうだったし。

航の、何かメタっぽい独白があってこの項は終わり。
読者にとっては納得できても、登場人物には納得出来ないエンディング、というような内容だったけれど、さて何を暗示しているのか。





自由研究続き。星野家の納屋をひっくり返すして、宮穂の祖父の著作を探す。
この項が「ほんのちょっとした違和感」って題名なのが、たまらなく不安ですけど、どうなんでしょうかね。

【宮穂】
「わたし、いつか戻ってきたいです。この島に」


その、いつかがいつなのだろう。今といつかの間には、航と宮穂が離れ離れになっている時間が確実に存在するわけで、それが航を不安にさせている。

身分も違うし、一回離れてしまったらもう一度同じように関われるのかってのは不安でしょうねぇ。宮穂は物事を明るく素直に信じて捉える方だから、そうは思わないのかもしれないけれど。








薬局で「薬品の類ではなくて・・・」とか「化粧品の類でもなくて・・・」とか要領を得ない注文で店員を困らせた末に、逃げ出す宮穂。

【宮穂】
「わたしっ、頑張りました。
 一人でなんとかしようと努力はしたんです!
 でも…でもっ」

【宮穂】
「わたしには限界です…
 でも、どうしても手に入れなくてはならないんです。
 お願いです先輩、わたしの代わりに…」

miyaho70.jpg

【宮穂】
「避妊具買ってきてくださいっ!
 あ、お金は出しま…きゃああっ!?」


もう、分かっちゃいたけどひどいwwww
そりゃあ、航だって蹴りますよ。


狭い島の中なので、航だって頻繁にコンドームなんか買ってたら大変なわけで、自動販売機を使うことに。

miyaho71.jpg

まったく、生活感溢れるお嬢様だぜ。
そして、バカなコントをしながら購入の決意を固めるも・・・

【宮穂】
「すいません!
 この1万円札、全部500円玉に
 両替していただけませんか?」

【店員】
「…今ならこっちの3箱買うと、
 1箱おまけについてくるよ?」


お後がよろしいようで。






図書館に資料を返しにいく宮穂。
滝村執事と共に、車中に残される航。
沈黙が続くこと5分。

【航&執事】
「あの…」
「星野様」


意を決して声をかけようとしたら、重なってしまう二人。
おいおい、ラブコメかww

宮穂の両親が何故、島での寮生活を許したのか尋ねる航。
そりゃまぁ、祖父祖母の思い出の地だって言っても、可愛い一人娘だし。

【執事】
「お嬢様の…
 生まれて初めての、我が侭だったからです」


滝村執事から語られる、島に来て朗らかに、生き生きと過ごすようになった宮穂の姿。最初からそうだったように思っていた航にとって、それは意外な話。

宮穂が滝村執事に話しかけるようになったのも、この島に来てからなのだとか。友達の話を良くするということで、会長について聞いてみる。

【執事】
「外面も内面も能力的には素晴らしいのですが、
 ところどころ、妙に安普請な部分があるのが、
 とても親しみやすい、という感じでしょうか?」


宮穂がどんな伝え方をしているのか想像すると笑えるけど、滝村執事の的確な要約にも笑いを禁じ得ない。


で、もうちょっと踏み込んで、航と宮穂の関係について。滝村執事は二人の関係について、間違いなく知っているが、何も咎め立てはしない。その理由は「お嬢様の“夏休み”だから」とのこと。

つまり、いつかは終わってしまうのだ。宮穂は島を離れ、そこであったことは思い出だけになってしまう。とても残酷なことを、さらりと語る滝村執事。

つまり、星野航と六条宮穂は将来を共有できない二人なのだ。







季節は秋。
文化祭での発表を目前に控え、自由研究も大詰め。
あ、そういえば星野航は生徒会長に就任したらしい。

【航】
「権力というモノは使ってナンボだということを、
 二人の人間から教わったからな」

【宮穂】
「…二人目が誰か気になるんですが」


まあ、自覚があるだけ良いということで。

miyaho72.jpg

そろそろ二人の自由研究も終わりということで、改まって航に礼を言う宮穂。
しかし、何か、この言葉は航にとって複雑かもなぁ。
「まだ終わってない」ということで、航は現状の引き伸ばしを図る。

しかしまぁ、航は航で考えているようで、残りの見つかっていない資料が見つかるかどうかで賭けをすることに。

【航】
「ま、要するに、俺だけのものになれ…って意味だ」


無邪気な宮穂は気が付かないが、これは航にとって、ある種の戦いなのだ。未来の宮穂にとって、星野航を過去の存在にさせないための「味方どころか、敵もいない孤独な戦い」なのだ。





文化祭当日。
昨年は大暴れを見せた航ですが、今年は生徒会長なので仕切る側。
奈緒子と海己に勧められるものの宮穂の展示に顔を出そうとしない。
その理由はまぁ、前項で始まった孤独な戦いに航が敗北したからで。

外ではキャンプファイアーが始まった頃に、漸く顔を出す航。
皆のところではなく、ここで二人で踊ることを提案する宮穂。

【宮穂】
「わたし…とうとう、やりました。
 この島に来た目的を、果たしたんですよ」

【宮穂】
「大好き、です」

【宮穂】
「絶対に、忘れません」

【宮穂】
「だから、あと少しの時間…
 わたしを叱って、わたしをいじめて、
 そして…わたしを、可愛がって、くださいね?」


miyaho75.jpg

目前に迫ったつぐみ荘の廃寮。
その時に生じる別離を宮穂は受け入れようとしている。
そんな宮穂を、航は肯定できない。

【航】
「お前、本当に俺のこと好きなわけ?
 あっさり、いい思い出になるくせに、
 大好きだって、言えるわけ?」


miyaho76.jpg

【航】
「残念ながら…
 俺は、あっさり思い出に成り下がる気はないからな」

【航】
「俺、今なら自信あるからな。
 お前の好きより、俺の好きの方が、強いって」


ひどく未練がましいけど、航がとてもカッコイイ。





12月。
寮に宮穂の姿はない。
文化祭以来、つぐみ寮に姿を見せない。

夕方、電話の後で出かけようとする航。
寮則で「ごはんは揃って食べる」と決まっている。寮則を破るほどの重要な用事なのか、と海己が問う。

miyaho77.jpg

それほど重要な用事ということは、宮穂のこと。
鈍感な海己でもそれは分かる。

航は多分、見つからなかった宮穂の祖父の著作を探し続けているんだ。
文化祭の時点では敗北してしまった賭け、孤独な戦いの延長戦をしているのだ。



サザンフィッシュに顔を出す航。
滝村執事がサザンフィッシュのパフェを持ち帰ったり、駄菓子屋で買い物をしていたりする目撃談を三田村兄妹から聞く。

>宮の奴…
>俗世と縁を絶って、屋敷に引きこもった割りには、
>一度染みついたジャンクフードの味が忘れられないらしい。
>…相変わらず、可愛いな。

航いいなぁ。
切ないなぁ。

サザンフィッシュを出た時、SEで車のエンジン音が入ったけれど、これは多分、滝村執事の運転する高級車だったんだろうなぁ。





生徒会総会。

miyaho78.jpg

本筋と関係ないんですけど、可愛かったので貼っときます。
さて、今回の議題は、前会長であらせられる南栄生の御前のご意向により「六条宮穂のつぐみ寮及び高見塚学園復帰促進について」ということに。

沙衣里が家庭訪問に行っても、寮の仲間が訪ねても、宮穂は引きこもったまま出てこない。まぁ、引きこもった原因が行かないことには無理ですよねぇ。

miyaho80.jpg

宮穂を迎えに行け、と皆から言われるものの、航は行こうとしない。もう少し待ってと言い続けて一ヶ月。航はクリスマスまでに、と孤独な戦いの延長戦への勝利を誓う。




miyaho81.jpg

クリスマスイブ。
今日も苦しい言い訳で面会謝絶を告げる滝村執事。
どんな病気で寝込んでいるのかを聞かれ、返事に窮する。

【奈緒子】
「なんちゃら患い…ってやつでしょ。
 そりゃ、伝染られたら色んな意味で困るだろうね~」

意味深に笑う奈緒子。
いやまぁ、それは伝染るというより、割と皆、既に感染してるんですけどね。
「クリスマスパーティのご馳走」の大荷物を屋敷の中に運び込む面々。

宮穂の「お、美味しい………寂しい………っ」が現状を要約してるなぁ。
寂しさを噛み締めながら、宮穂は海己が作ったご馳走を食べる。

【宮穂】
「あの人に…叱られたい。いじめられたいっ。
 どんくさいどんくさいって、すっごく優しい目で、
 こつんって、やられたいです…っ」

【宮穂】
「先輩…先輩…っ、
 ご、ごめんなさい、ごめんなさぁい…
 わたし、だって、わたしぃっ…」

窓に当たる石の音。
当然、そこには航がいた。

miyaho82.jpg

宮穂は航に会いたかったはずだけれど、顔を見て、改めて、終わってしまったのだということを確認して、航を拒絶する。

【航】
「嫌だ、嫌だ、絶対に嫌だ!
 次の約束がない限り、お前と離れてなんかやるもんか!」

【宮穂】
「ちっとも迎えに来なかったくせに!
 二月もわたしを放っておいたくせにぃっ!」


なんで二ヶ月も顔を見せなかったか。
航が、一人で延長戦をしていたことを打ち明ける。
まだ全部揃っていないから、少し決まりは悪いけれど、それくらい卑怯な手を使っても、宮穂を放したくなかったのだということは宮穂伝わる。

【航】
「お前の尊敬するじいちゃんは…やったぞ?
 お前と同じ境遇のばあちゃんを、
 自分のものにしてみせたぞ…?」


でも、航はエルガーのようにはなれない。
将来、宮穂の隣にいる人は、優しい人なのだと宮穂は言う。どんくさいと罵ったり、いじめたり、ましてや蹴ったりなんかしない。乱暴に好きだとささやいてくれないし、思いきり抱きしめたりしてくれない。

そんな優しい人に抱かれながら、航のことを思い出すのだ。
そう宮穂は言う。

【宮穂】
「ほうら…ざまぁみろですよ…っ!」


勝利宣言のはずなのに勝ち誇れない宮穂。
ずっと航に縛られ続けると、宮穂は宣言してしまった。

【航】
「お前…俺のこと好きだろ?」


この辺、パルフェのラストで里伽子を口説き落とすところに似てるかもしれない。自分が相手を愛していることを伝え、相手が自分を愛しているということを突きつける。



ついに負ける宮穂。
そして、二人は皆が待っているつぐみ寮へ・・・

【???】
「お嬢様を…どこへ連れていくおつもりで?」


というところで、滝村執事が立ちはだかる。
航には、滝村の態度の変化が理解できている。
宮穂の思い出になるだけの人間から、将来へ影響を及ぼす人間に航の立場が変わったから。

miyaho84.jpg

【航】
「滝村さん…
 ようやく俺は、認めてくれたんですね?」

【執事】
「ええ…
 あなたは、お嬢様に近づく、不逞の輩となりました」

【航】
「光栄です…」

【執事】
「今日のところは…見逃します。
 …まだ、“夏休み”ですから」


島の小僧が六条家の脅威として滝村に認識されるのだから、それは光栄と言う他ないですよね。ここの二人の遣り取り、かっこよくてしびれた。

その後はクリスマスパーティだったわけですが、寮の他の面々が都合良く宮穂と航だけ早抜けさせてやったのが、笑えるというか、気が利き過ぎというか。

miyaho85.jpg

miyaho86.jpg

珍しく、男側が描かれてるシーン。
丸戸史明シナリオのゲームは、割と男も顔を出しますよね。「ままらぶ」と「ダメ恋」は殆ど出てたような。

miyaho87.jpg

miyaho89.jpg









大晦日。
海己と宮のおせち作りを楽しそうに眺める宮穂。
そういえば、宮穂が初めてつぐみ寮を訪ねた時、航と二人で食べたのがおせちの残り物だった。

一方の航は、今は使われていない旧男子寮の大掃除。
探し求めていた最後の1ピース、宮穂の祖父が作った校内新聞22号が発見される。
それを最も喜んだのは、賭けに勝った航ではなく、賭けに負けた宮穂。

【航】
「こら人の話を聞け生涯奴隷!
 お前は、来年から身も心も俺のものなんだぞ?
 わかってんのかよ!?」


泣き笑いが止まらない宮穂。
響く除夜の鐘。

【宮穂】
「今年も…いいえ、ずっとずっと…永遠に、よろしくお願いしますっ」






エピローグ
五年ぶりに開かれる、六条邸の宮穂の部屋。
部屋の窓から宮穂が島の、五年経ってもちっとも変わらない景色を見下ろす。

【執事】
「当初からのお約束の通り、滞在期間は三日間ですからね」


今回の滞在も、宮穂の両親が特例で認めたことだと滝村は言う。五年前も半年間のはずが、その倍いてしまったということも付け加える。

【執事】
「わたくしも、あの時は甘かったと反省しています。
 お嬢様のこの島での生活が、美しい思い出になるのならと、
 つい仏心を出したのがいけなかった…」


滝村が呆れ顔で語る、星野航の五年間の武勇伝。
宮穂の部屋から見えるアパートに住み、何度追い払っても屋敷に通い、使用人を調略し、滝村の目を盗んで入り込み…。

今では、宮穂の両親さえ負けてしまい、最後の砦が滝村本人。
彼としては、航を近づけてしまった負い目もあったのかもしれない。
航も航で、滝村に敬意を払っていたというのが、何とも憎いねぇ。

【航】
「5年もかけやがって…
 俺は『次の夏休み』って、言ったよなぁ?」

【航】
「で、そのお嬢様は、
 自分とこの新入社員と、この島の新任教師と、
 どっちのモノになる?」


出水川重工の内定と教員免許を取り、宮穂を待っていた航。
星野航は筋を通す男だ。

miyaho92.jpg









と、いうわけで、宮穂ルートでした。
身分違いのお嬢様と結ばれる話、というと、どうしても障害を跳ね除ける話を書きたくなってしまいますが、そこは丸戸史明。二人の気持ちが通じ合うまでが大事なんだ、ということでシナリオを作ってきました。

ただ、22号が発見された辺りはちょっと弱いですよね。大事なのは、宮穂が屋敷から出てくるところなわけで。あそこで全部揃ってる状態だと安易かなとは思うものの、盛り上がり的にはそっちの方が良かったのかも。

宮穂は良いキャラクターでした。



今日はここまで!!