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2013年03月

戯画「この青空に約束を―」 沢城凛奈(2)

お久しぶりです。
「こんにゃく」の凛奈ルート2回目です。
凛奈と航の関係で大きな役割を果たす「合わせ石」のエピソードを中心に。



夏祭り
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海己の浴衣を借りた凛奈。照れ気味。
イメージ変わっておしとやか風な凛奈に航も戸惑い。
なんか、互いに憎まれ口を叩いてしまう。

南栄生島名物の「合わせ石」の話。
深い海の底からきた女と漁師の男が結ばれ、別れる際に一つの石を二つに割って二人で分けたという伝説からきているんだとか。

茜と二人で祭りを見て回る航を見て、複雑そうな凛奈。
隆史と二人で祭りを見て回る凛奈を見て、複雑そうな航。
分かりやすい二人。

で、その空気を引きずって、凛奈と航とで二人きりになっても、何となく重い空気。
別に、そういう関係ってわけでもないのだけれど、しかしまぁ、そういう対象として意識しているのは事実なわけで。

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ビールと屋台の食べ物を分け合って、お腹も膨れ、別に喧嘩したわけではないけれど仲直りする二人。
恐らく航も同じ気持ちだろう。


凛奈がピアスを外して航に手渡す。
合わせ石の職人とも親しい航には、それが合わせ石の片割れだと分かる。

商品化されたのは三年ほど前。
夏祭りで売られるようになったのは今年から。
凛奈は一体、どこでこれを手に入れたのか。

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何か、嬉しそうに納得する凛奈。
女の子って難しいね。




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幼い頃の記憶を夢に見る。
航は誰かに、別れた二人が絶対にもう一度会える、という“いいもの”をプレゼントしていた。
それが誰なのか、航は覚えていない。

ここまでの流れだと、この子=凛奈なんだよなぁ。



凛奈と航は合わせ石の工房を訪れる。

【淳二】
「へぇ、航の彼女ねぇ…ようやく絞り込んだか。
 一時期は六人同時って噂も流れてたのに」

【凛奈】
「沢城凛奈って言います。
 今日は本当に無理言っちゃって」


出ました、丸戸シナリオの定番。
周りから彼女扱いされて否定しないというやつです。
あと「代わりに謝って身内感を漂わせる」もこのシーンでは出てきます。

で、今日の訪問の目的は、凛奈が航とデートをしたかったから、ではなくて。
凛奈の持っている合わせ石を合わせ石職人の淳二に見てもらうため。
昔、自分が作ったものに間違いない、と淳二は断定する。

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凛奈は自分の片割れが誰か知りたかったのだ。
で、それが航だったら良いなと思っている。



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思い出の人に会えるかもしれない、とはしゃぐ凛奈。
それが、なんとなく面白くない航。
凛奈は相手が航だと思っているから浮かれているし、航は自分以外の誰かだと思っているから面白くないのだろう。

【航】
「そいつに逢ったら…どうするつもりだ?」

【凛奈】
「…なんで、そんなに、知りたがるの?」


どんどん、会話が男と女っぽい感じになっている。
もしかしたら凛奈にとって真実はどうでも良いのかもしれない。

【凛奈】
「早く、たどり着いてよ~!
 こっちだって、自信あるわけじゃないんだからさぁ~!」


寮までの駆けっこについて言っているのか、或いは。
航が駆けるのは寮への道なのか、君の心に続く長い一本道なのか。
すみません、財津和夫のファンでして。




県大会出場が決まった凛奈。
どうやら、全国大会と同日開催の二線級の大会らしい。
優勝は勿論のこと、タイムも全国大会に出ている連中に劣らないぐらいの意気込みらしい。
自信を自然体で漂わせるね、この子は。


で、航は合わせ石の片割れを探している。
悪友の雅文にも話を聞くわけだけれど、何故か凛奈の名前は出さない。
「父方の遠縁」ということにしている。
複雑な男心である。

しかしまぁ、航の父方の遠縁は雅文の父方の遠縁にもなってしまうわけで、墓穴である。
「親父とは腹違いの叔父さんの愛人が叔父さんに内緒で産んだ女の子が、三番目の旦那さんとの間に授かった子」なんて、どっかのままらぶ設定を持ち出す。
じゃあ、今、その子の父親は六番目の旦那さんかな?

隆史に呼び止められる航。
凛奈の思い出の男を見つけてしまって良いのか?と問われる。
兄貴には何でもお見通しですね。

他の男に取られても良いのか?という問いに航は「想像させるな」と返す。
事実上の自白。



部活中の凛奈に弁当を届けてやる航。
二人で弁当を分け合いながら、陸上の話。
凛奈のタイムがちょっと落ちてるのが気になる様子。

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特待生として走っていた時に比べて外的なプレッシャーは減ったけれど、応援してくれる人達に応えたいという内的なプレッシャーは当時とは比べ物にならないのだという。
凛奈は優しい子なのだ。

そんな凛奈に、航は何が出来るのだろう。
航は航なりに凛奈を思ってがんばっているのだけれど。

【凛奈】
「あたしはただ…もっと手っ取り早く、
 安心させて、欲しいだけ、なのにさぁ」


凛奈が本当に求めているものは何なのか。
航には分からない。すれ違ってしまう二人。

凛奈は食欲をなくした。




幼い頃の夢、二回目。
女の子との別れに際して、合わせ石を渡すところまで。
目覚めた航は、何かを思い出したようだ。


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眠れなくなっている凛奈。


朝早くから祖父の家を訪ね、捜し物をする航。
凛奈の壮行会に間に合わせるために、急ぐ。


朝食に手を付けず、散歩だと言って寮を出る凛奈。
その様子を訝しむ奈緒子。


部屋からは見つからず、庭の納屋を探し始める航。
壮行会が始まる時間になっても、寮に戻らない。
無理して明るく振る舞う凛奈。


壮行会はお開きに。
努めて自信満々、問題なしを装っていた凛奈だが、普段の食欲がないことを奈緒子と海己には見抜かれていた。

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海己に、自分を苦しめるプレッシャーについて話す凛奈。


納屋に仕舞い込まれた、航の母親の化粧台から見つかった合わせ石。
それを持って、急いで寮へ戻る航。
凛奈を呼び出し、二人きりになる。

怒っている凛奈。
不安で、辛くて、航に一緒にいて欲しい一日だったはずなのに、航は凛奈の傍にいなかった。
凛奈の怒りはもっともだけれど、航も航で理由がある。

「思い出の男の子について話して欲しい」という航。
航の言葉から、何かを察した凛奈。

凛奈の両親が関係の清算のために集まった南栄生島。
そこで出会った、少年。

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凛奈と航の儚い記憶は、緩やかに繋がっている。
自分の合わせ石を取り出す航。

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凛奈は航がそうだという自信があったのだろう。
或いは、願望かもしれない。

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まさかの展開。
二人の合わせ石が合わない。

ぶち壊し。最低最悪の展開。もうどうしようもない。
凛奈からビンタを喰らい、サザンフィッシュで死体と化す航。



奈緒子から情報を入手した隆史に呆れられる。
最後の最後で詰めを誤ったこと。
それと、お互いが、お互いが思い出の存在だと信じて疑わなかったこと。

隆史から「二人揃って自分に都合の良い勘違いをしてるのがお似合いだ」といわれる。
確かに、そうかもしれない。
思い出を都合良く改変してしまうくらい、お互いが思い出の相手であって欲しいと願っていたんだから。



沙衣里から凛奈の様子を聞く航。
凛奈のコンディションは相変わらず最悪らしい。
加えて、航への好感度も最悪らしい。

どうにかこうにか、凛奈と電話で話すチャンスを得た航。
航が用意した「いい話」と「悪い話」

いい話。
凛奈の思い出の男の子の正体は隆史であったということ。

航は、未だに凛奈が望むのは真実だと思っている。
隆史はそれを否定するし、僕らプレイヤーから見てもそうだろう。
何とも、やきもきする展開である。

真実を聞かされ、電話口で泣き出す凛奈。
電話を切ろうとする。

だが、航はそれを許さない。
なにせ悪い話が残っているのだ。

【航】
「それでも俺、お前のこと、好きだ!」


来たよ来たよ来たよ来たよ。
その一言が欲しかったんだよ。
どうして、合わせ石が合わなかった瞬間に言えなかったんだ。
どうして、もっと前にそれが言えなかったんだ。

一言の応答もなく、電話を切られる航。



それから3日。
航は、沙衣里と凛奈が帰ってくる飛行機を出迎えにはいかない。

砂浜に寝転がる航。
ここの内心のつぶやきが良いから引用しましょう。


 凛奈の『思い出の男の子』でもなんでもない、
 ただ、半年前に初めて出会ったばかりの、俺は…

 そんな運命とか、偶然とか、全然関係なく…
 ただ、あいつと嘘まみれの出逢いをして、
 お互い、本気でムカついて、喧嘩して…

 寮のみんなのためにって大義名分で、
 あいつを振り向かせようと努力して、お互い無茶して、
 けど、お互い、絶対に負けるのが嫌で。

 二人とも勝って、そして二人とも負けて…
 だから、やっと笑顔で、見つめあうことができて、
 そしたらあいつは、そんな表情が反則的に可愛くて。

 もう駄目だ、もうあかんって…
 拗ねられたって、ムキになられたって、いじけられたって、
 全然、ムカつかなくなっちまって。

 それどころか…それどころか…
 もう、こうして三日会えないだけで、
 まるで、禁断症状みたいに、イライラして…

 今の俺は、嫌われてるって…わかってるのに。
 空気読まなくて、タイミング外しまくって、
 チャンスに守り、ピンチに攻めて、結局ダメだったのに。

 顔、合わせられないけど、顔が見たい。
 何も、言えないけれど、言葉を交わしたい。



航の前に、現れる凛奈。

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長旅で疲れているのに、空港から急いで走ってきたのだという。
しかも、満面の笑みに涙を浮かべて。

航の告白を受けて、混乱して電話を切って、急にお腹が空いて、食べたら眠くなって、翌日の夕方に目覚めて、万全の調整をして、大会当日。

全国大会のトップタイムに5秒届かなかったと悔しがる凛奈。
解放された沢木凛奈は、本来の力を発揮したのだ。
地方の誰も見向きもしない大会で全国三位を上回るタイムを叩き出したのだ。

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【凛奈】
「あたしがここまで来れたの…
 誰のおかげで、あってほしい…?」

大事なのは事実ではないのだ。
この二人について、それは一貫している。
どうあって欲しいか。
願望の方が大切なのだ。

【航】
「俺たち…都合のいい答えが欲しかっただけなんだよな…
 本当は、正しいことなんか、どうでもよかったんだよな」


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二人とも、結論に辿り着いた。
過去の真実よりも、現在の願望の方が尊いに決まっている。


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波打ち際で、キスして、転げ合う二人。
砂まみれでびしょ濡れで、笑い合う二人。

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砂浜で二人抱き合う。
ここは、二人が心を通わせたマラソンのスタート地点。

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発言がスれてた割に、案の定処女でした。
まー、そうだろーよ。



と、言うわけで、めでたく二人は結ばれました。
バカで可愛いキャラクターから、意外と繊細な面を見せたりと、表情豊かな良いキャラクターになっています。

合わせ石が合わなかった、というひねくれた展開がギャルゲ的・エロゲ的な運命重視・因縁重視に対するアンチテーゼとして効いていました。
要は「運命とか因縁とかなくたって良いじゃねえか、好きなんだから!」という話です。
丸戸史明自身がかなり過去の因縁を非常に重んじるタイプですから、ファンに対する肩透かしというか、奇襲にもなっていて、なかなか上手いなぁと感じさせられました。

あとは、凛奈と航がどのように島を離れるのか、というところになっていくんじゃないでしょうか。
この後の展開も楽しみです。

今日はここまで。